会社勤めから独立して会社をつくる、個人で起業する時、迷ったり困ったときには税理士や司法書士、社会保険労務士などそれぞれ専門分野の相談窓口がありますが、事業をスムーズに軌道に乗せていくためにも最初に決めておくと良いことをまとめてみました。
もくじ
状況確認
起業、設立にあたり最初の選択・決断・設定がその後に影響することが税金の世界ではいろいろあります。
まずは現状の立ち位置を確認することから始めてみます。例えば売上について、取引先が事業者が主になるのか、一般の消費者が主になるのか整理してみましょう。
これからはじめる事業について、個人事業と法人とで税金の負担額を比較して、個人事業の方が負担が少ない場合でも、売上取引先のニーズが法人でないと取引しないよ、というような状況では法人で事業をはじめる優先順位が高くなります。状況を確認しておくことで何を重視していくべきかが見えてくるのではないでしょうか。
その他、事業の形態、資金繰り、日々の経理業務について取り上げていきます。
事業の形態
起業や設立をするときには、個人事業又は法人にするかの選択肢がありますが、それぞれメリット・デメリットをつかんでおきましょう。
個人事業では①自分への給料は経費にならないが法人では経費になる、②税率は個人は所得税・住民税が5%~最大55%くらいに対して法人では法人税等が25%~35%ほど、③個人事業ではおかねの引き出しが法人より自由度が高く、法人では生活費等のために引き出した場合利息をつけて法人に戻すルールなどがあります。また、法人の形態では株式会社や合同会社などがありますが、設立費用やランニングコストの違いや対外的なイメージが自社の事業経営に影響するか検討してみましょう。法人を設立する場合にはその他に、
・会社をつくるときに必要になる元手のおかね(資本金)をいくらにすればいいのか
・役員報酬を決める、社会保険の負担額を試算
・株主や役員の構成と経営への影響
・ネットバンキング対応の銀行口座開設
・届出書類の提出(税務・社会保険・住民税)や税金を納める手続き
・決算を何月にするか
・インボイスの登録をするか
など決めておく必要があります。
個人で事業を始めるのであれば、
・事業開業関連の手続き(青色申告等)
・インボイスの登録をするか
・ネットバンキング対応銀行口座開設
・税金の試算(所得税、住民税、国民健康保険、事業税、消費税等)
・車など事業用とプライベートで使用する場合、それらの経費を事業用とプライベートで按分する基準を決める
といったことがあります。
資金繰り
次におかねまわりについて考えましょう。売上、利益は大切ですが、手元資金が足りなくなると事業経営は厳しくなってしまいますので、年間収支をExcelなど活用して資金状況を見える化しておくことをおすすめします。月ごとの入金、支出、残高を試算し実績と比較していくと資金繰り表の精度が上がっていきます。
場合によっては銀行から借り入れを検討することも必要になり、ピンチになる前にどこからいくら借りるのかなど次の判断をしていくことができます。
経理業務
経理をすることは経営管理、経営分析をするうえで土台になる部分です。日々の経理を行うツールとしてパソコンと会計ソフトを活用していきましょう。
会計ソフトにはいろいろ癖がありどのソフトにも一長一短ありますが、使っていけば慣れてきます。
わたしはマネーフォワード、弥生会計デスクトップ版をメインに使っています。
給与などのデータ連携が充実しているのがマネーフォワード、簿記の知識がいるけれど、経理がスムーズにできるのが弥生会計デスクトップ版といった感覚です。
どの会計ソフトにしても使わない科目を消す、必要な科目を自社に合わせてつくるなど、最初の設定を使いやすいようにしておくと良いです。
まとめ
事業をはじめるときに決めておきたいことをご紹介しました。最初の選択がその後の経営に影響を与えていくものが多くありますので、それぞれの分野の専門家に相談してみるのも良いでしょう。新しい船出を始める方々の参考になれば嬉しいです。
・自社の状況確認
・事業の形態
・資金繰り計画
・経理業務
■編集後記
小学校2年生の息子が距離や歩数をチェックできる腕時計に興味津々です。2キロ以上走り回っても物足りない様子でした。