経理を活かして会社の健康診断してみましょう!

雨上がりの空から虹

自分の身体について健康診断等で健康状態を確認するように、経営がどんな状態になっているのか定期的に健康診断をチェックしてみると、会社の傾向や変化がみえてきます。

日々の経理を積み重ねていくと経理業務が経営分析に活かされます。会社の健康状態をチェックする際に押さえておきたいポイントを整理してみます。


もくじ

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比較してみること

健康診断の結果は、医師の所見や過去の数値と比較することで何が良くなって何が悪くなったのか参考になります。

事業経営の状況についても現在と過去の比較をチェックすると自社の強みや傾向、課題がみえてきます。

比較のものさしとして、

・自社比較

・同業同規模の他社比較

などがあります。それぞれの視点から比較分析してみると、自社の傾向や同業他社における位置づけなどを把握することができます。

そこでチェックしておきたい項目を確認してみましょう。

自社比較のチェック項目

自社比較では、月末や決算時など一定の時点における動き(推移)や変化を掴むことで、大きな動きになった原因や今後の対応に役立てることが出来ます。グラフで動きをみる場合は、線で動きが分かる折れ線グラフ数字の変化を追いやすくなります。

自社比較では以下の3項目を押さえておくと良いでしょう。

①資金
②積上げてきた損益
③売上

①資金

事業を続けていくための生命線であるのが資金です。売上、利益があっても資金がなければ支払いに追われ経営に専念することも出来なくなり、事業を継続していくことが難しくなります。

毎月末の資金をチェックする方法として会計ソフトから必要なデータを取り出しExcelなどを活用して、月別の資金残高の推移を把握する方法もあります。季節変動の傾向の有無や、前年同月と比較して預金は増えているか、減ったのか、月の支払額に対して余力がどのくらいあるか、余力不足であれば銀行対応するなど早めの行動がとりやすいでしょう。

②積上げてきた損益

月々の資金のやりくり、具体的には今の入出金や預金残高だけではなく向こう1年先の資金繰りを予測、計画、確認することに加え、利益を出すことで事業を安定して継続することが出来ます。

貸借対照表や試算表の中にある純資産とよばれる項目を押さえておくと継続的に利益を出しているのか確認することが出来ます。

純資産は主に「資本金」、「利益剰余金」で構成されています。このうち利益剰余金は、設立からその時点での税引後利益(損失)の累積を表しています。純資産の金額がプラス、増えていれば利益を積み重ねていることが分かりますし、マイナスであれば損失が積み重なっている状態であり、会社の資産より負債の方が大きい債務超過となり経営の安全性が良くない状態となります。

純資産、特に利益剰余金のプラスが大きければ不測の事態に対応できる会社の体力、余力がある状態なので事業経営の安全性の目安になります。

③売上

過去や現在の売上推移をみて増減の傾向を掴み、季節要因があって増減しているのか、変動がある月への対応など経営について考え確認しておくことができます。

他社比較のチェック項目

自社の経営状況を同規模の同業他社と比較して、他社にはない自社の強みや課題、改善がすべきことを確認してみましょう。

財務の指標分析方法で迷ったら、経営自己診断システム(公的機関:中小企業基盤整備機構)や経営指標調査(国の政策金融機関:日本政策金融公庫)を利用すると便利です。

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自社の数値を入力して結果を図解で解説してくれる経営診断システムです。

小企業の経営指標調査|日本政策金融公庫

業種、規模ごとに細かく分類・集計されていて、事業の生産性や収益性を比較することが出来ます。

同業他社との比較でチェックしておきたい項目は、

・流動比率
・経常利益率
・1人当たり売上、1人当たり人件費

などをチェックして、資金の支払力に問題がないか(安全性)、自社が投入した費用や労働力に対する成果(生産性)を確認してみましょう。


まとめ

経理は地道な業務ですが、事業経営の分析にも役立てることができるものです。

自社比較や同規模の同業他社比較による会社の健康診断をして、経営に役立ててみてはいかがでしょうか。


■編集後記

今回は会社の健康診断について、数値の視点から経営を診ることについて整理してみましたが、数値分析以外に「人」を大切にしている会社が多くあります。

幸せな会社とは何か、会社の存在とは何か、価値観の参考になる本で、私は読んで涙が出ました。人を大切にした会社のお話です。

日本でいちばん大切にしたい会社 [ 坂本光司 ]
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