日々の経理を行う目的を決算申告や書類作成だけのためにしていると、経理をすることや続けることのモチベーションを維持することが難しいかもしれませんが、経理を自社の経営分析に結び付けて経営状況の把握、課題をみつける土台になっている視点を持つと経理に対する向き合い方も変わるのではないでしょうか。
経理を活かして、経営分析をしてみましょう。今回は経営変化の予兆をつかむ分析である、移動年計グラフについてまとめてみました。
もくじ
移動年計グラフ
売上や利益について、毎月の増減から経営の状況を確認することは、過去に重点を置く側面からは役立つ方法ですが、今後の傾向をつかむには移動年計分析があります。この折れ線グラフから売上や利益などについて上昇傾向なのか、下降傾向なのか、変化をグラフの向きでつかみます。
移動年計グラフは、その月から過去1年間の数字を合計した額の推移をグラフにしたものです。
例えば、
2023年5月は、「2022年4月から2023年5月までの1年間合計」であり、
2023年6月は、「2022年7月から2023年6月までの1年間合計」です。
このように常に1年間の合計額を集計していくことで繁忙期や閑散期等、凸凹変動の影響を取り除いて推移をみることができます。
月額推移表と移動年計の比較
売上について、棒グラフと移動年計グラフを比較してみましょう。
下図1は、2022年1月から2024年4月の月ごとの売上について、棒グラフで推移したものです。
下図1 売上推移表
この期間では黄色の部分に売上の山があり、売上の減少はその年によって傾向があるのかなと読み取ることは出来ますが、「売上増減傾向が今後どうなっていきそうか」という視点では判断するのは難しいです。
そこで移動年計グラフでみたものが下図2です。
下図2 売上年計表
この売上年計グラフから読み取れることは売上増減傾向について、
・8月から売上増加傾向になり12月がピーク、以降減少傾向
・売上は未来に向かって減少傾向にある
であることがみえてきます。増減の傾向から経営状況を把握し、これからの経営の課題をみつけて改善し実行していくことにつながります。
移動年計のデータは中長期的な業績傾向をつかむためにも3期分は準備した方が良いでしょう。
これからの計画、見込数値を使って移動年計グラフを活用しても参考になります。
まとめ
経営の変化をみるには、繫忙期、閑散期等の変動要因を除いた移動年計を活用する方法があることをまとめてみました。
・移動年計グラフに凸凹があるところをチェック、何が原因なのか検証する
・グラフが一定期間下降しているときは要注意、経営対策をする
売上や利益について移動年計グラフの視点から上昇傾向なのか、下降傾向なのか常に経営状況変化をチェックして今後の経営に活かしてみてはいかがでしょうか。
■編集後記
やわらかいボールを使って子ども(7歳)とグローブ無しでキャッチボールをしています。コントロールが良くなり、遠投も出来るようになってきました。バッティングやボール投げで自宅屋根の上にボールを何個ものせてしまい雨風で落ちてくるのを待っています。