個人で事業を行う皆さんにとって、事業から発生する売上、経費、お金の流れを記録して確定申告をすることは、手間や多くの時間を費やすためついつい後回しになってしまうのではないでしょうか。
毎年税務署と税理士会が連携して、個人の事業者の方々を対象に、日々の事業取引である売上、経費等の経理や確定申告書の作成、提出までを税理士が個別にサポートする制度があります(個別指導方式による記帳指導)。
今回は、この記帳指導について取り上げてみます。
もくじ
支援内容
記帳指導を受けるには地域によって異なりますが、個人で事業をされている方が対象になり、税務署で申し込むことで出来ます。具体的には、記帳・決算説明会等に参加し、アンケートに税理士による記帳指導を受けたい希望を出すと、委託を受けた税理士が訪問や税務署で個別サポートを行います。
記帳指導を受ける際、希望したい税理士を選ぶことはできません。また希望者が多い場合は抽選になり、税務署から連絡がくれば受講可能になります。
伊那税務署管内の場合は、例年約10人を記帳指導対象者として伊那税理士会から5~6人の税理士がサポートしています。
「記帳指導」と聞くと固いイメージがありそうなのですが、「サポート」と置き換えて頂ければ良いです。
税理士が会計ソフトに入力、資料整理をすることはなく、ご自身で進めていただく中で疑問点や不明点を解決するサポートを行います。
・会計ソフトへの入力方法、経費の科目をどれにすればよいか
。入力のルール
・資料の整理や保存方法
・e-Taxを使って申告書を作成、送信
・インボイスへの対応
などご自身が主体となって進めていく中で、わからない部分を解決しながら進めていただく内容となっています。
支援スケジュール
記帳指導は8月から2月にかけて合計4回行われます。希望を出したあと税務署から連絡があり、担当税理士の通知が送付されます。そのあと担当税理士から日程調整などの連絡をとりあって進んでいく流れです。

よくあるご質問として、私の経験では会計ソフトの選び方や、入力した数値と請求書等のチェック方法、10万円以上の固定資産を購入したときの会計処理などが多い印象です。
まとめ
記帳指導の制度について取り上げました。記帳指導の対象になるのは、個人で事業を始めた方や、青色申告の届出を提出して初めての確定申告を行う方がメインになります。
また、ご自身で会計ソフトへの入力や資料整理、決算及び申告までを進めていただくことが前提になります。
毎回面談の前にわからないところをピックアップしておくと、スムーズに進んでいきます。
この制度をうまく活用してご自身で日々の記帳から資料整理、確定申告の提出までを完結できるきっかけになればうれしいです。
■編集後記
子ども(8歳)の宿題で国語教科書の音読があります。はっきりと、大きな声で、読み間違えなく丁寧に、などチェック項目があります。毎回コツコツと取り組んでいます。
声を出してみることは、聞く側や自分にも理解を深める方法のひとつと感じました。仕事でも作成資料を使って打合せ前に声にだしてみます。